なぜ浴室は転倒が起きやすいのか
浴室は、(1)床が水や石けんでぬれて滑りやすい、(2)浴槽をまたぐという不安定な動作が必要、(3)脱衣所との段差や温度差がある——という条件が重なる場所です。元気な方でもバランスを崩しやすく、体の動きに不安がある方ならなおさらです。
だからこそ、「滑らない」「またぎやすい」「支えられる」を意識して直すと、転倒のリスクを下げ、入浴の動作がしやすくなる場合があります。(体の状態によって必要な対策は変わるので、最終的には主治医やケアマネジャー、担当の専門職にもご相談ください。)
転倒を防ぐ4つの改修ポイント
① 出入り口の段差をなくす
脱衣所と洗い場の間の段差は、つまずきのもとです。すのこや床のかさ上げ、扉の下のレールを平らにするなどで、段差を小さくできます。
② 床を滑りにくくする
洗い場の床を、ぬれても滑りにくい床材に変える方法があります。工事をしない場合でも、滑り止めマットで応急的に対応できることがあります。
③ 手すりをつける
浴室では、(a)出入りのとき、(b)洗い場で立ち座りするとき、(c)浴槽に出入りするときに、体を支える手すりがあると安心です。ただし、付ける高さや位置は、その方の動作に合わせて決めるのが大切です。手すりの考え方は介護の手すりの位置と高さでくわしくまとめています。
④ 浴槽の出入り(またぎ)を楽にする
浴槽の縁が高いと、またぐのが大変で転びやすくなります。浴槽を交換してまたぎを低くする方法のほか、浴槽の横に手すりを付けたり、バスボード(浴槽に渡す板)やシャワーチェアといった福祉用具を使うと、座ってまたげて負担が減ることがあります。福祉用具は工事をしなくても使えるので、ケアマネジャーに相談してみてください。
介護保険・費用の考え方
浴室の改修のうち、手すりの取り付け・段差の解消・滑りにくい床材への変更などは、介護保険の住宅改修費(上限20万円・自己負担あり)の対象になることがあります。ただし、利用には要支援・要介護の認定と、工事の前の事前申請が必要です。
費用は、手すり1本程度の小さな工事から、浴槽や浴室全体の交換まで、内容によって大きく幅があります。だからこそ、何が必要かを見きわめ、複数の会社で見積もりを比べることが大切です。制度のくわしい使い方は介護保険の住宅改修費とはをご覧ください。
(脱衣所と浴室の温度差による体への負担が心配な場合は、脱衣所を暖めるなどの配慮も知られています。健康面の判断は主治医にご相談ください。)
工事の前に確認したいこと
- まず本人が実際に浴室で動く様子を見て、どの動作がつらいかを確かめる(できれば理学療法士・作業療法士・ケアマネジャーに同席してもらう)
- 福祉用具で対応できるもの(シャワーチェア・バスボード・滑り止めマットなど)は、工事をしなくても始められる
- 工事が必要なら、あわてて1社で決めず、介護に強い会社を複数社で比べる
業者選びのコツは失敗しない介護リフォーム業者の選び方にまとめています。
まとめ
- 浴室は「滑る・またぐ・段差や温度差」で転びやすい場所
- 見直すのは①出入りの段差②床の滑り③手すり④浴槽の出入り、の4点
- 手すり・段差解消・床材の変更は介護保険の対象になることがある(工事の前の事前申請が必要)
- 福祉用具で始められるものもある。工事は本人の動作を見て、複数社で比べて決める
※この記事は一般的な情報をまとめたものです。お一人おひとりの体の状態や介護・医療的な判断は、主治医・ケアマネジャー・地域包括支援センター等にご相談ください。介護保険・補助金などの制度や金額は変わることがあるため、最新はお住まいの市区町村でご確認ください。